ニューポリスストーリー 香港国際警察  21世紀のジャッキープロジェクト?

昨今はアジアだけでなくハリウッドでもリスペクトされるようになり、ラッシュアワーシャンハイ・ヌーンシリーズのヒットも記憶に新しいジャッキー・チェン。でも往年のファンはもちろんジャッキー本人にとっても、ハリウッド製のアクションには満足がいってないご様子で、そんな中今週封切りの香港国際警察は、久々の香港映画界本格復帰の一作(あれ?メダリオンはもしかして黒歴史?)ということで、一応往年のファンの一人としては、いやがおうにも期待は高まるなかでの鑑賞となりました。
 で、感想なのですが、アクションはハード、ストーリーはヘビー、脇を固める俳優もいい感じ(ユー・ロングワァンはやっぱ渋い!!)と、確かに力入った素晴らしい出来なのですが、なぜかノれない自分がいます。なぜなんだろうと自問しつつ鑑賞を続けているうちに、劇中のあるシーンをみてはたと思い当たります。シリアスな展開が続く本作でクライマックス直前に、少しだけ笑いを取りに来るシーンがあります。いやもう相変わらずだなぁというベタベタのノリながらなぜか安心してしまいました。ああ、ジャッキーらしいとー

自分で書いててなんですが、ジャッキーらしさってなんなのでしょうか。命がけのスタント、体をはった体当たりアクションもちろんそれも魅力ではあるのですが、そんなのそれこそCGを使えば喧嘩にならないくらいもっと凄い絵はいくらでも出来ちゃうし、スタントだって、世界は広いし「マッハ!!!!!」のにーちゃんみたいに命知らずの若い奴が出てくればもう対抗できません。思えば、自分が幼い日にジャッキーの虜になったのは、そんな何かに取って代わられる要素ではなかったと思います。たとえば、生意気なドラ息子ながら曲がったことの大嫌いななんだか憎めない『酔拳』の飛鴻、いじめられながらも優しい心を失わない愛すべき『蛇拳』の簡福、復讐を胸に秘め心を閉ざしていたものの、クンフーの修行のため様々な師匠と接する内に、次第に人としての心を取り戻していく『少林寺木人拳』のイーロンなどなど、全然違う役なのに、ジャッキーが演じることで全部同じに見える、じゃなくって、ジャッキーだからこそ身近に感情移入できる主人公たち、ジャッキーだからこそ共感できるがむしゃらな感情の爆発etc、漠然とした表現になりますがジャッキー自身の魅力にひかれていたのだと思います。
 先に名前を出した『ラッシュアワー』や『シャンハイ・ヌーン』といったいわゆるハリウッド製のジャッキーの作品ですが、じつは自分は案外好きだったりします。同じ時期にでた『WHO AM I?』等の香港製のジャッキー作品があまりにもスタント、アクション一辺倒だったのに比べ、よりジャッキー自身の魅力をひきだそうとしていたように思えるからです。
 今回の香港国際警察は、ドラマの部分にも力をいれているようで、ジャッキー自身も、演技が出来るアクションスターとしてでなくアクションもこなせる俳優として見てもらいたいみたいなことを言っていたと思います。そんな中今回は、ジャッキーは責任もあり尊敬も集めている警部の役なのですが、その落ち着いた役柄からは、アクション時の体の切れ以上に老いを感じてしまいました。流石に50すぎて感情爆発の役はかえって無理があるのかもしれませんが、いやだからこそ、尊敬すべきアジアのスター(やっぱジャッキー自身は演技派と呼ばれたいのでしょうか?)ではなく、愛すべき我らのジャッキーとして、スクリーンに登場してもらいたいなあと、改めて思ってしまったしだいです。